R-1は、幅広く音を収録するように設計されていますが、録音対象に応じて最適な録音レベル〈音量〉設定を行なうことで、より高音質で録音することができます。以下に最適なレベル設定のしかたを説明します。
レベル設定の基本は、歪まない音をなるべく大きなレベル〈音量〉で入力することです。これは内蔵マイク、外部マイクのいずれを使用する場合でも同じです。
■通常の録音でのレベル設定
通常の場合は、歌を歌っている人や、会話など録音する対象にマイクを向けてください。マイク距離は近いほど(1-2m)明るく、クリアな音になりますが、部屋の響きや、周囲の環境音も収録するときは少し離れたところ(3-5m)に置きます。
[REC]ボタンを押して、点滅させ、レコーディング待機状態にします。この状態ではまだ録音は始まっていません。[DISPLAY]を一回押すとディスプレイがレベルメーター表示に切替わります。
R-1に入力される音の大きさに従ってレベルメーターは振れますが、右に行くほど大きな音を集音していることを表わします。このレベルメータがなるべく大きく振るように左パネルの入力レベルつまみを回します。同じ音でも上に回すほど大きな音量で記録しようとします。
ところが、レベルメーターがディスプレイの右端に達したとき、これはR-1が記録できる最大のレベルに達したということを表わします。これをクリップするといいます。クリップしている状態で、さらに大きなレベルの音が入ってきてもこれ以上は記録できませんのでやはりクリップの状態で記録されてしまいます。つまり、実際はレベルが違う音が同じレベルで記録されてしまうことになります。このようなとき録音された音はバリバリと歪んだ状態になっています。
したがって、入力レベルつまみを調整して、録音しようとしている対象が出すもっとも大きな音が入ってもレベルメータが右端に達しない(=クリップしない)ようにします。歌であればサビの歌声、楽器であればフォルテシモの音が出るときにクリップしないようにしておきます。
レベルの設定が終われば、もう一度[REC]ボタンを押せば録音が始まります。録音中も[DISPLAY]を何回か押せばディスプレイをレベルメーター表示に変えることができます。
■バンド演奏の録音
小スタジオのような閉じたスペースで、音量の大きなバンド演奏を録音する場合で、上記にしたがって録音レベルを調整しても、ベースギターやバスドラムの音が歪んで録音されてしまうことがあります。このようなときは入力レベルを絞っても、音量は小さくなっても、音が歪むことが解消されません。
これは、あまりに元の音のレベルが大きくて、入力レベルつまみで調整する前に音が歪んでいるからです。このようなときはR-1、あるいは外部マイクの位置を録音対象から離して置いてください。
室内のバンド演奏のケースでは、ベースアンプやバスドラムのすぐ前〈1m以内)は危険です。少なくとも3m以上は離すようにしてください。また、本体が強い音の共振するとその音がマイクに拾われてしまうので、柔らかいものの上に設置するようにしてください。
なお、R-1の内蔵マイクを使用した場合の最大入力レベルは105dBとなっています。
R-1、外部マイクの設置位置とレベル調整とを最適に行い、R-1の能力を活かした高 音質録音をお楽しみください。