まず、音源モードを GS に設定します。
次のエクスクルーシブ・メッセージ(GSリセット)を、曲データの冒頭に入力してください。
F0 41 10 42 12 40 00 7F 00 41 F7
次に、11パートをドラム・パートにします。
次のエクスクルーシブ・メッセージを、曲データの冒頭に入力してください。
11パートがドラム・パートになります。
F0 41 10 42 12 40 1A 15 02 0F F7
解説 :
音源の 11パートをリズム・パートに設定するシステム・エクスクルーシブ・メッセージの組み方
MIDI音源のリズム・パート(ドラム・パート)は通常 10パート(MIDI Ch10)に設定されていますが、GS音源ではシステム・エクスクルーシブ・メッセージを使用して、10パート以外をリズム・パートに設定することで、2つのドラム・マップ(ドラム・セット)を使用することができるようになります。
リズム・パートを設定するシステム・エクスクルーシブ・メッセージのパラメータは 「USE FOR RHYTHM PART」 です。このパラメータを音源の MIDIインプリメンテーションで確認すると、
アドレス(H) |
サイズ(H) |
データ(H) |
パラメータ |
説明 |
初期設定値(H) |
説明 |
40 1x 15 |
00 00 01 |
00-02 |
USE FOR RHYTHM PART |
0=OFF 1=MAP1 2=MAP2 |
00 at x≠0 01 at x=0 |
OFF(Normal Part) MAP1(Drum Part) |
となっています。それぞれの意味を項目別に見ると以下のとおりです。
アドレス(H)
リズム・パートを設定するシステム・エクスクルーシブのアドレスは 「40H 1xH 15H」 です。中位バイト 「1xH」 の 「x」 の部分には何パート目をリズム・パートに設定するのかを指定するブロック・ナンバー (0~F) が入ります。
パート・ナンバーとブロック・ナンバーの関係
パート・ナンバー |
ブロック・ナンバー |
パート・ナンバー |
ブロック・ナンバー |
Part 1 |
x=1 |
Part 9 |
x=9 |
Part 2 |
x=2 |
Part 10 |
x=0 |
Part 3 |
x=3 |
Part 11 |
x=A |
Part 4 |
x=4 |
Part 12 |
x=B |
Part 5 |
x=5 |
Part 13 |
x=C |
Part 6 |
x=6 |
Part 14 |
x=D |
Part 7 |
x=7 |
Part 15 |
x=E |
Part 8 |
x=8 |
Part 16 |
x=F |
上記の表でパート11 の欄を見ると、「x=A」 となっているので、「x」 の部分には 「A」 が入ります。これをアドレスに当てはめると、11パートをリズム・パートに設定するシステム・エクスクルーシブ・メッセージのアドレスは 「40H 1AH 15H」 となります。
サイズ(H)
この項目の値は使用しません。
データ(H)
リズム・パートを設定するシステム・エクスクルーシブ・メッセージの設定値の範囲は 「00-02」 です。リズム・パートを設定するデータは 「00H」「01H」「02H」 の 3 種類です。
10パート以外をリズム・パートとして設定する場合はデータとして「02H(=MAP2)」 を指定しますので、11パートをリズム・パートに設定する場合のデータは 「02H」 になります。
パラメータ
リズム・パートを設定するシステム・エクスクルーシブ・メッセージのパラメータは 「USE FOR RHYTHM PART」 です。
説明
データに対しての説明では 「0=OFF」「1=MAP1」「2=MAP2」 となっています。これは 「データに 00H を指定するとリズム・パートが OFF、01H を指定すると Drum MAP1、02H を指定すると Drum MAP2 になる」 という意味になります。
初期設定値(H)
リズム・パートを設定するシステム・エクスクルーシブ・メッセージの初期設定値は 「00 at x≠0」「01 at x=0」 です。これは 「xの値(ブロック・ナンバー)が 0(パート10)以外のものは 00H(リズム・パートOFF)、x の値(ブロック・ナンバー)が 0(パート10)は 01H(MAP1)に設定されている」という意味になります。
説明
初期設定値に対しての説明では 「OFF(Normal Part)」「MAP1(Drum Part)」 となっています。これはそれぞれ 「00 at x≠0」「01 at x=0」にかかっているので、初期設定値(H)の項目から横に見ていく必要があります。初期設定値(H)と説明を合わせて見ると 「10パート以外は OFF(Normal Part)、10パートは MAP1(Drum Part)に設定されている」 という意味になります。
「OFF(Normal Part)」 とは、通常のドラム以外の音色 (ピアノやギターなど)が鳴るパートのことです。また、「MAP1(Drum Part)」 は初期状態ではパート10 が使用していますので、リズム・パートをもう一つ設定する場合には初期状態でどのパートにも使用されていない 「MAP2」 を指定する必要があります。これがデータで 「02H(=MAP2)」 を指定する理由です。
上記の内容から、音源の 11パートをリズム・パートに設定するシステム・エクスクルーシブ・メッセージのアドレスは 「40H 1AH 15H」、データは「02H」であることがわかります。
これをシステム・エクスクルーシブ・メッセージに当てはめると、
F0H 41H 10H 42H 12H 40H 1AH 15H 02H sum F7H
となります。
データとアドレスが決まったら、チェックサムの計算を行います。
1:データとアドレスの数値を 10進数に換算すると、
40H=64 1AH=26 15H=21 02H=2 になります。
2:これを全て足すと、
64+26+21+2=113 です。
3:この値を128で割って、余りを求めると、
113÷128=0…113 です。
4:この値を128から引くと、
128-113=15 となり、
5:これを16進数に換算すると、
15=0FH となります。
この値を「sum」の部分に入力すると、
F0H 41H 10H 42H 12H 40H 1AH 15H 02H 0FH F7H
※数字の後の 「H」 は 16進数を表しています。実際には 「F0 41 10……」 と数字のみ入力します。システム・エクスクルーシブ・メッセージの入力方法につきましては、お使いのシーケンス・ソフトなどの取扱説明書をご参照下さい。
となり、音源の 11パートをリズム・パートに設定するシステム・エクスクルーシブ・メッセージが完成します。このデータをシーケンス・ソフト等から音源に送信することで、音源の 11パートをリズム・パートとして設定することができます。
<補足>
リズム・パートを 2つ使う場合は、慣例的に 11パートを指定しますが、アドレスの中位バイトで、ブロック・ナンバーを 「x=A」 以外に設定すれば、11パート以外のパートをリズム・パートとして設定することも可能です。