C-30 の鍵盤と音源の開発で最もこだわった部分が、このタッチによる音色変化と表現力の向上です。主に、以下のポイントで微妙な音色変化や表現が実現され、タッチの違いやフレージング、アーティキュレーションが演奏に反映されるようになりました。
- タッチの強弱で微妙に音が変化し、強いタッチではより太くしっかりした音に、柔らかいタッチでは明るく美しい音になります。
- さらに強いタッチでは、弦をはじく仕組みのジャックがジャックレールにあたる木の箱の音が変化し、ピアノタッチとチェンバロタッチの違いが音の立ち上がりに反映されます。
- チェンバロの弦を重ねた演奏では、タッチが極端に重くならないように弦をはじくタイミングを微妙にずらせてあります。(スタガリング)
これを再現する事で、タッチの違いによる音の立ち上がりのニュアンスが微妙に変化します。 - 鍵盤を離したときにジャックが戻るわずかな遅れを再現し、トリルやレガート奏法での、音のつながりを表現できるようにしました。
- 鍵盤を離したときに、爪が弦に触れるときの独特のノイズも、弾いてすぐ離した場合と、弾いてからしばらくたって弦の振動が止まってから離した場合で、この独特のノイズの音質を変化させ、鍵盤を離すタイミングにまで気を配った演奏の違いを表現します。
これらのこだわりのタッチの再現により、チェンバロ独特のタッチやアーティキュレーションの表現に重要なポイントが実現し、弾き手のテクニックによって音色表現が変わり、柔らかで正確なチェンバロのタッチの習得にも特に有効です。